- 2020/10/28
事例Ⅲ(生産・技術)の良問です。
既存事業の衰退を背景とした
「新事業(IC検査用治具)への進出」
における戦略と生産管理がテーマです。
事例Ⅲは
「強み(技術力)」をいかに「市場(ニーズ)」に適合させ、
「弱み(管理体制やリソース)」をどう補うかが解答の柱となります。
第1問(市場環境と優位性)
(設問1:市場環境)
(a)有利:長期的には市場が拡大傾向。ICの多様化・高密度化により少量・特注品の需要が増大。
(b)リスク:大手メーカーによる標準品の価格競争激化。半導体市場特有の好不況の波が激しい。
(設問2:優位点と強化点)
(a)優位点:高密度ICに対応可能な微細切削加工技術。既存得意先に潜在ユーザーが存在する。
(b)強化点:短納期を実現する生産管理体制。多様な特注品ニーズを吸い上げる営業力の強化。
第2問(製品戦略とチャネル戦略)
(a)取り扱う種類
種類は少量品や特注品を主とする。理由は、大手との価格競争を回避でき、自社の微細加工技術による「短時間・正確な検査」という高付加価値な差別化を最大限活かせるため。
(b)販売チャネル
自社による直接販売とする。理由は、特注品は顧客個別の仕様把握が必要なため、技術スタッフと連携し、詳細なニーズを直接収集・製品化することで顧客満足度を高めるため。
第3問(OEM供給の是非)
(a)メリット
大手X社の販路活用による早期の売上確保。生産量の安定による製造コストの低減。
(b)デメリット
X社の価格支配力による利益率の低下。自社ブランドの市場浸透や営業機会の喪失。
第4問(短納期実現のためのIT活用)
営業と設計・製造部門をネットワークで結び、受注情報をリアルタイムで共有する。CADデータを外注先や現場と共有し、設計から試作・組立までの工程を同時並行(コンカレント・エンジニアリング)で進め、リードタイムを短縮する。
第5問(内製化に伴うリスク)
最も重要なリスクは、設備投資に伴う固定費の増大と、半導体市場の需要変動による景気悪化時の経営圧迫である。需要減退期に設備稼働率が低下すると、財務状況を著しく悪化させる恐れがある。
診断士としての「事例Ⅲ」攻略アドバイス
「強み」の活用
C社には
「微細切削加工技術」
という明確な強みがあります。
これを活かせるのは
「標準品(量産品)」ではなく、
付加価値の高い
「特注品(少量品)」である、
という論理構成を一貫させることが重要です。
経営リスクの回避
第5問のように、
中小企業は「固定費の増加(内製化)」
に慎重であるべきだという視点が
診断士試験ではよく問われます。
「持たざる経営」や
「外注活用による変動費化」
という選択肢を常に頭に置いておきましょう。