- 2026/02/08
「この回答は以下を前提としています」
事例Ⅰ(組織・人事)
および
事例Ⅱ(経営戦略)の重要テーマである
「アンゾフの成長マトリクス」と、
経営資源(リソース)の分散リスクを軸にします。
本業の停滞により、
安易な「隣の芝生」に
手を出そうとする社長の葛藤を
テーマに設定します。
診断士試験で頻出の
「シナジー(相乗効果)」と
「ドメイン(事業領域)の定義」を
解決策の柱とします。
【事例Ⅰ:組織・経営戦略】多角化に関する演習問題
【与件文】
A社は、人口減少が続く地方都市で、長年「地域密着型の注文住宅」を主力事業としてきた工務店である。高品質な木材と、自社抱えの職人による丁寧な施工が強みで、地元では「A社で建てれば一生安心」という高い信頼を得ている。
しかし、新築住宅市場の冷え込みにより、ここ数年の売上高は減少傾向にある。社長は、この状況を打破するために、全く経験のない「コインランドリー事業」や「カフェ経営」といった、土地活用を絡めた多角化を検討し始めた。
これに対し、専務は「本業の強みが活かせず、限られた経営資源が分散するだけだ」と猛反対している。一方で、既存顧客からは「建てた後のメンテナンスや、高齢者向けのバリアフリーリフォームをしてほしい」という要望が相次いでいるが、新築至上主義の現場職人たちはリフォーム業務を「小規模で面倒な仕事」と軽視しており、対応が後手に回っている。
【設問】
A社社長が検討している多角化案の問題点を指摘した上で、A社が持続的成長を図るために進むべき「新事業の方向性」について、100字以内で助言せよ。
ステップバイステップ思考による回答構築
① 質問意図の確認
シナジーのない非関連多角化のリスクを指摘し、
強み(職人、信頼)を活かせる「関連多角化」への誘導を問う。
② 確実な事実の列挙
強み:職人の施工力、地元での高い信頼、既存客ベース。
社長の案:コインランドリー、カフェ(非関連、強みを活かせない)。
機会(ニーズ):既存客のリフォーム、メンテナンス需要。
③ 不確実な情報の分離
新築市場が「いつ回復するか」は不明だが、
市場縮小は構造的であるため、
既存客のLTV(顧客生涯価値)最大化が急務。
④ 最終回答の構築
問題点:強みとのシナジーがなく、経営資源が分散する。
方向性:既存客のニーズに応えるリフォーム事業等の関連多角化。
【模範解答】
https://note.com/nakybusiness/n/n3096c5f2e41b
多角化の判断を下す「診断士の視点」
【確実な事実】
中小企業において、
経営資源(人・物・金・情報)は
極めて限定的である。
全く未知の分野への
「非関連多角化」は、
管理コストを増大させ、
本業共倒れのリスクを孕む。
アンゾフのマトリクスに基づけば、
まずは「既存市場への新製品」
(リフォーム等)という
「製品開発戦略」が、
リスクが低く成功率が高い。
【推測・意見】
社長がカフェ等に惹かれるのは、
日銭(キャッシュ)が入る事業への憧れや、
新築市場の「じり貧」感からの
逃避である場合が多い。
職人の「リフォーム軽視」
という意識改革(事例Ⅰの課題)を
セットで行わなければ、
どんなに関連多角化を進めても
現場が機能しない。
【検証が必要な情報】
既存顧客(OB施主)のリストが整備されており、
ダイレクトにアプローチできる状態にあるか。
この回答の確信度:95%
理由:
事例Ⅰ・Ⅱの王道である
「シナジー」と「ドメイン」の論点に基づき、
中小企業に最適な戦略を提案しているため。
私が間違えやすいポイント
「新事業に賛成・反対」
という二元論ではなく、
「なぜその多角化ではダメなのか」
(シナジーの欠如)
という論理的根拠を明確に示す必要があります。