【事例Ⅳ:財務・会計】ミニ演習(2026/2/6)

この回答は以下を前提としています

① 事例Ⅳで頻出の「収益性・効率性・安全性」の経営分析をメインテーマとします。

② 貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)から、企業の「歪み」を見抜く力を養う構成にします。

③ 計算ミスを防ぐための「診断士試験のルール(四捨五入など)」を適用します。

1. ステップバイステップ思考による回答構築

ステップ1(質問意図の確認)

財務諸表の数字から、
企業の「強み・弱み」を客観的に把握し、
コンサルティングの指針となる
指標を導き出すプロセスの体験。

ステップ2(事実の列挙)

売上高は伸びているが利益は微増。
一方で売上債権と借入金が急増しているという、
典型的な「急成長の歪み」を数値化。

ステップ3(不確実情報の分離)

借入金の増加が
「前向きな設備投資」によるものか
「赤字補填」によるものかは、
キャッシュフロー計算書等の精査が必要。

ステップ4(最終回答構築)

収益性・効率性・安全性の3つの切り口から、
最も改善すべき点を指摘する。

2. 【事例Ⅳ:財務・会計】ミニ演習

【与件文】

D社は、地域特産品を全国の小売店へ卸売する商社である。
ここ数年、健康志向の高まりを受け、売上高は前年比20%増と急成長している。
しかし、社長は「売上の割に手元の現金が増えていない」ことに不安を感じている。
最新の財務諸表を確認したところ、以下の傾向が見られた。

・売上高は増加したが、安売りによる販路拡大の結果、売上高総利益率は低下した。
・新規取引先への回収条件の緩和により、売掛金が売上高の伸び以上に急増している。
・不足する運転資金を賄うため、短期借入金が増加している。

【簡易財務データ】

項目 | 前年度 (H11) | 当年度 (H12) 

売上高 | 1,000 | 1,200
売上総利益 | 250 | 240
経常利益 | 50 | 36
売上債権 | 100 | 200
棚卸資産 | 50 | 60
総資産 | 800 | 1,000
自己資本 | 400 | 420

【設問】

D社の財務状況を分析し、
最も優先して改善すべき財務指標を1つ挙げ、
その原因と改善策について60字以内で述べよ。
※比率算出にあたっては期末数値を用い、
小数点第2位を四捨五入すること。

3. 【模範解答】

指標は売上債権回転率。原因は回収条件緩和に伴う債権滞留。改善策は、与信管理の徹底と回収条件の見直しにより現金化を早める。

4. 診断結果の構造化

【確実な事実】

●収益性の低下:
売上高総利益率が25%から20%へ、
経常利益率が5%から3%へ低下している。

●効率性の悪化:
売上高が1.2倍に対し、
売上債権が2倍に増えており、
回転率が10回から6回へ大幅に低下している。

●安全性の低下:
自己資本比率が50%から42%へ低下している。

【推測・意見】

黒字倒産のリスク

利益は出ているが、
その利益が「売掛金(未回収の代金)」に化けており、
現金が枯渇している典型的な状態です。

無理な売上拡大

利益率を下げ、
回収条件を緩めてまで売上を追ったことで、
経営の質が損なわれています。

【検証が必要な情報】

・短期借入金の金利負担が
今後どの程度利益を圧迫するか。

・売上債権の中に、回収不能となる
「貸倒れ」の懸念がある先が含まれていないか。

5. 総評とアドバイス

この情報が間違っている可能性:

・業界標準値が不明なため、
絶対的な数値だけで「悪化」と断じることのリスク。
(ただし本問は期間比較のため妥当)

・「商品」の回転率に注目した場合、
在庫過剰も一つの課題となり得る。

この回答の限界

計算プロセスを簡略化しているため、
実戦で必要な
「端数処理の罠(四捨五入のタイミングなど)」
への習熟には別途練習が必要です。

より正確な情報を得るには

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)という指標を学び、
仕入から販売、回収までの「お金の足止め期間」を計算する手法を学習してください。

私が間違えやすいポイント

利益率(%)と回転率(回)の単位を逆に書かないよう、
回答欄の単位を必ず確認しましょう。

事例Ⅳは「電卓」を武器にする唯一の事例です。

まずはこの
「数字が物語るストーリー」を楽しめるようになると、
合格がグッと近づきますよ。

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