2001年(平成13年)事例Ⅳ

D社はメーカー向けに材料を輸入している従業員60名の商社(社歴30年)であり、5種類(メガネ用ガラス、光学機械レンズ用ガラス、半導体用研磨剤、メガネ用研磨剤、セラミック用研磨剤)の商品を扱っている。

平成11年度および12年度の貸借対照表と損益計算書は表1・ 表2に示すとおりであるが、過去5年間の売上高の伸びは平均して約20%とこれまでにない急激で高い成長率を示しており、取引先も大幅に増えつつある。なお、営業外収益、営業外費用および特別利益はすべて現金による取引で発生したものであり、また、利益はすべて内部留保されている。さらに、商品別の採算性検討資料は表3に示すとおりであるが、販売費・一般管理費のうち共通固定費は売上高に基づいて按分している。

これらの会計書類は経理用パッケージソフトを用いてコンピュータで処理、作成している。また、在庫管理用パッケージソフトも別途利用している。しかし、これまでは取引先が固定的でそれほど多くなかったので、販売先、仕入先の管理についてはコンピュータでは行っていない。

売上高の伸びだけを見ると、順調な推移と判断したくなるが、経営者は今のうちに、収益力が高くまた財務的にも健全な経営体質に改善したいと考え、中小企業診断士に診断・助言を依頼してきた。



●第1間(配点40点)

D社に関する経営分析について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

両年度の貸借対照表および損益計算書を用い、利益率、回転率および安全性に関するそれぞれの経営比率について、このケースで適切な分析結果を導くために有用と考えられるものをそれぞれ2つずつ、名称と算出式を示した上で、2か年度分の経営比率の数値を算出し、解答用紙の解答欄に記入せよ。

なお、利用可能な2期分の財務諸表のみを用いて期間比較を行うために、各経営比率の算出にあたっては、当該年度の貸借対照表および損益計算書の金額のみを用いるものとする。

注1)(b)算出式欄の記入例

従業員1人当たり売上高 → 売上高/従業員

注2)(C)・(d)欄の数値の四捨五入

(1)利益率、安全性は、小数点第2位を四捨五入すること。(記入例:12.3%)
(2)回転率は、小数点第3位を四捨五入すること。(記入例:1.23回)

(設問2)

設問1で算出した経営比率に基づいて、D社の経営状況の総合的な分析結果を100字以内で説明せよ。

●第2間(配点30点)

D社のキャッシュフローについて、以下の設問に答えよ。

(設問1)

両年度の貸借対照表および損益計算書から平成12年度の営業活動キャッシュフロー、投資活動キャッシュフローおよび財務活動キャッシュフローを計算し、解答用紙の解答欄に記入せよ。

なお、キャッシュインフローはプラス(+)、キャッシュアウトフローはマイナス(-)の金額で示すこと。(単位:百万円)

(設問2)

設問1の計算結果に基づいて、D社のキャッシュフローの状況を100字以内で説明せよ。

●第3間(配点20点)

D社で取り扱っている5種類の商品の採算性について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

表3の資料から商品の採算性を検討するとしたら、どのように分析すべきか、60字以内で(a)欄に説明せよ。 また、その分析結果について40字以内で(b)欄に説明せよ。

(設問2)

これら5種類の商品構成を戦略的に見直していくには、どのような視点やデータに基づいて検討していくべきか、100字以内で説明せよ。

●第4問(配点10点)

D社では、現在利用しているコンピュータシステムを見直し、経営管理を総合的に行えるようにしたいと考えている。コンピュータシステムの開発コストの負担が大きくならないようにしながら、それを再構築するためにはどのような方法が考えられるか、40字以内で(a)欄に説明せよ。また、D社における再構築上の留意点について、60字以内で(b)欄に説明せよ。

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