- 2018/03/06
試験から約1ヶ月が経過したタイミングで、
受験生から寄せられた
179枚の「再現答案」を徹底分析し、
各事例(事例Ⅰ〜Ⅳ)の出来栄え、
採点基準の予測、
そして受験生の合否を分けるポイントについて
ベテラン講師が
極めて具体的に解説しています。
📊 全体の傾向と受験生の状況
答案の傾向
分析の母集団となる再現答案は179枚。
全受験生の一部ではあるが、
毎年一定の精度を持つ。
また、再現答案を作る受験生は
「手応えのあった層」(よく準備してきた層)
に偏りやすいため、
実際の平均より出来が良く見えがち。
合格率の予測
例年通り「上位2割弱(20%弱)」が合格する。
ただし、
今年度は前年より
受験者数が若干減少しているため、
合格者数を確保する目的で、
採点基準が例年より
「緩め(加点されやすい)」
に調整される可能性がある。
📝 各事例(事例Ⅰ〜Ⅳ)の再現答案分析と採点基準予測
🟢 事例Ⅰ(組織・人事)
第一印象からのアップデート
試験直後は
「第3問・第4問が捉えどころがなく難しかった」
という声が多かったが、
回収した答案を見ると
全体的に非常に出来が良い。
第1問・第2問(配点計50点)
本文中に
明確な根拠や答えそのものがあったため、
ここで多くの受験生が50点近く
(ベースとなる得点)を稼ぎ出している。
第1問(SWOT分析・強み)
A社の持つ
「経営資源」と
「ネットワーク」の活用が
事例全体のシナリオ。
そのため、
強みの回答欄に
「ネットワーク」
という文言を
明記できているかどうかが、
採点者にアピールする最大の境界線となる。
第2問(取り組みや工夫)
列挙型の回答が多いが、
単なる「取り組みの羅列」に終始せず、
「何のためにそれを行ったか」
(工夫の目的)まで
踏み込んで書けている答案が頭一つ抜けている。
第3問(組織体制)
単なる組織“形態”(事業部組織など)ではなく、
組織“体制”を聞かれている。
この事例の主役(キー)である
「X事業部」の存在を
回答に盛り込めているかがポイント。
機能と事業を組み合わせた
「マトリックス組織」
と書いた答案も、
3本の事業柱を活かす文脈から
外れていないため十分加点対象になる。
第4問(理念と浸透)
A社単独の拡大ではなく、
「地域ネットワーク」
「地域と共に」
という広い視野
(地域リソースの巻き込み)を
理念や関係者に含められた答案が、
出動者の意図(満点30点近く)に合致している。
🔴 事例Ⅱ(マーケティング・流通)
講師陣が「最も心配(出来が悪い)」としている事例
事務的に採点すると
平均点が20点台に落ち込む恐れがあるため、
本番の採点基準はかなり
「緩められる(救済が入る)」
可能性が極めて高い。
第1問(3C分析・15点)
2次対策が手薄な受験生の中には
3Cの要素(顧客・競合・自社)を
綺麗に整理できていない答案
(競合だけ、あるいは市場が抜けている等)
が散見された。
もし採点者が
「3Cの体裁を成していないものは一発アウト」
と厳しく評価した場合、
15点が丸ごと吹っ飛ぶリスクがある。
(ただし、救済措置として要素ごとに部分点を拾う可能性の方が高い)
第2問(価格戦略・ターゲット・25点)
「価格をどうするか」(結論)と
「誰を狙うか」(ターゲット)の2軸が必須。
空いている時間帯(9時〜18時)の価格を下げ、
本格的な施術を求める客(60分コース)を
そこへ誘導するシナリオがベスト。
受験生の6〜7割が
「ダイナミックプライシング」と
言葉を共通して使っているため、
このワードだけでも
部分点(5点程度など)をくれる可能性はある。
第3問・第4問(各30点)
第3問
社長の持つ強み
(聴くコミュニケーション力・施術力)
を他スタッフへ
いかに「蓄積・共有」し、
長期的な関係(固定客化)を築くかのプロセスが問われた。
第4問
動画コンテンツによるプロモーション。
本文にある
「有名トップアスリート」や
「強豪の運動部」
というキーワードを省略せず明示できているかが、
30点満点の中で細かく刻まれる点数の差になる。
🔵 事例Ⅲ(生産・技術)
例年通りの難しさだが、得点は大崩れしにくい構成
第1問(20点)と
第4問(30点)の計50点部分で、
多くの受験生が同じような妥当な回答をキープできている。
そのため、
事例IIと違って
足切り(D評価・40点未満)になるリスクは極めて低い。
第1問(強み・弱み)
C社にとっての最大の特徴である
「X社との関係・原材料の安定仕入れ」
を強みに含められている答案は、
手堅く20点近くを確保できる。
第3問(納期短縮・製品在庫の抑制)
出題者の想定(本筋)は、
全工程(1〜8)のうち
「1〜5(乾燥まで)」を先行してやっておき、
確定後に
「6〜8」だけを行うことで
納期を短縮し在庫を持たないという回答。
しかし、
179枚中わずか3枚しか
この回答にたどり着けていない(超レア)。
現実的な加点ポイント
現実的には、
原材料の仕入れ停滞による作業遅延を
「生産計画や在庫量に基づいた適正な発注」
によって改善する、
と書いた答案が一定数あり、
そこが10点〜15点レベルの
部分点救済の軸になると予測される。
🟡 事例Ⅳ(財務・会計)
再現答案を見る限り、非常に出来が良い
(高得点・満点狙いも可能)
事務的に採点しても70〜80点、
あるいは100点近い答案が一定数出ている。
よって、
事例Ⅳで大きな貯金(アドバンテージ)を作り、
凹んだ事例Ⅱをカバーして逃げ切る
合格パターンが今年度の典型になる。
第1問(経営分析・25点)
安全性の「自己資本比率」、
収益性の「(売上高)総利益率」、
効率性の「有形固定資産回転率」の組み合わせが王道。
注意点
記述問題(設問2)で
「経営戦略上の違い」を記述させる
珍しい要求があった。
全体の出来が良いため、
「戦略の違い」
(自社は高付加価値、他社は仕入れ販売など)
について一切触れていない記述は、
減点などのダメージを受けるリスクがある。
第2問(管理会計・CVPなど)・第3問(投資意思決定・NPVなど)
計算問題については、
問題の要求(考え方)自体を勘違いして
数値がズレている答案が多いため、
計算過程欄(プロセス)による
部分点救済はあまり期待できない。
「数値が合っていれば一発合格、違っていれば0点」
に近い
ドライな採点になると想定すべき。
第4問(財務・記述)
設問2(為替リスク)
今回の舞台はEU諸国(ユーロ)だったが、
演習の癖で「ドル」と書いてしまった
ケアレスミス答案がチラホラ見られた。
また、具体的な手段として
「コールオプション」と書いてしまうと
(正解はプット、または単に為替予約・通貨オプション)
真逆の意味になり丸をもらいにくい。
🧘♂️ ベテラン講師からの熱いメッセージと質問コーナー
合否の不確実性と向き合うマインド
中小企業診断士の2次試験は、
数点(238点や239点など)の
わずかな差で
合否が左右される非常にシビアな試験です。
しかし、
合否(他人の評価)という結果は、
すでに皆さんの手を離れています。
結果発表までの残りの期間、
「自分がこの1年間、
仕事と両立しながら
どれだけ目標に向かって全力を尽くしたか」
という
自己評価(貴重なプロセスと経験)を、
結果が出る前に
1行でもいいから
ノートに記録し残してほしいと語っています。
この経験は、
合格・不合格どちらになろうとも、
今後のビジネス人生において
絶対に無駄にならない大きな財産になります。
【質問】事例Ⅱでターゲットを「学生(学割)」にしたがどうか?
➔ 時間帯(9〜18時)の
空きを埋めることが最優先の課題。
学生は学校や部活があるため、
昼間の時間帯に移動させるのは現実的に難しい。
よって、
出題者の想定は
「本格的施術を求める社会人客(60分コース)」
を昼間にシフトさせること。
ただし、
時間帯によって
価格を変える
ダイナミックプライシングの方向性は妥当なので、
一定の部分点は入るはず。
【質問】不合格の可能性が高い場合、今から来期に向けてどう進めるべきか?
➔ 「絶対に落ちた」と思っていても
合格しているケースが
非常に多いのがこの試験。
また、
結果がわからない状態では勉強に
「迫力(身の入り)」が出ないため、
基本的には1ヶ月後の合格発表まで
何もせず待つことをお勧めする。
どうしても何かしたい場合は、
問題の「読み慣れ」が不足している可能性があるため、
今年の問題や過去問を
「音読」するなどして、
長文の与件文を正確に読み解く感覚だけを維持しておくと、
もしもの時の再スタートが切りやすくなる。