- 2021/10/29
全体として
「例年以上に難易度が高く、
受験生の間で得点が大きくブレやすい
(相対評価のジャッジが難しい)試験だった」
と総評した上で、
各事例の具体的な論点や
望ましい回答プロセスを
以下のように解説しています。
1. 事例I(組織・人事)
全体的に要素を詰め込みやすい問題が多く、
いかに設問間の切り分けができたかが
ポイントとなりました。
第1問(ファブレス化の理由)
外部の印刷技術革新という
環境変化に対応し、
自社の強みである
「デザイン・ディレクション」
に経営資源を集中させ、
差別化戦略によって
生き残りを図るためと整理します。
第2問(3代目の登用)
社内経験のない3代目に
いきなり新設のデザイン部門を任せたのは、
「前例やしがらみに捉われない
新しい風を吹き込むこと」
と
「将来の経営者としての
管理・統括経験を積ませる教育的意図」
の
二面性からアプローチします。
第3問(ドメイン拡大の利点・欠点)
メリットは
既存顧客へ広告をクロスセルする等の
「シナジー効果」や
「雇用の維持」。
デメリットは
競争の激しい広告業界に飛び込むことによる
「営業資源の分散・不足」です。
第4問(外部企業との関係発展)
従来の案件ごとの短期・下請け的な関係から、
双方向で継続的な関係へと発展させ、
「新規需要の創造」
に繋げる手立てを記述します。
第5問(長期課題と解決策)
最大の課題は
「新規顧客の開拓」
(口コミ頼みからの脱却)
解決策として、
3代目が一時的にトップセールスを行い
(そのためにデザイン業務は権限委譲)
長期的には
営業部門の組織化・人材育成を図る必要があります。
2. 事例II(マーケティング・流通)
「置き配」や
「和菓子店との連携」など、
状況設定を正確に捉えた
オペレーションの助言が求められました。
第1問(SWOT)
ネット販売立ち上げを前提に、
強み(Y社との関係等)や
機会(リモート浸透・自宅食へのこだわり)、
弱み(主婦層の未獲得)を
30字以内で端的にまとめます。
第2問(全国への魅力発信)
商品は既存の「手作り豆腐セット」を選定。
販売方法は
Y社の顧客(全国の食通)をターゲットに、
米・水・レシピを組み合わせた
「豆腐丼セット」として提案し、
他社ecサイトとの差別化を図ります。
第3問(置き配導入の高齢者施策)
b社(本部)
保冷ボックスの提供や、
離反した既存客へのマーケティング支援(告知)を行います。
g(加盟店)
高齢者向けに「電話」での御用聞きや、
月替わり商品の案内を通じた
定期的・日常的な接点確保を徹底します。
第4問(主婦層の獲得)
開発ノウハウがないため「地元の和菓子店」と連携。
おから等を使った
「共同(コ)ブランド」の菓子を開発し、
既存客へのインサイトメッセンジャー(SNS等)発信から
主婦層への「口コミ」による話題性を狙います。
3. 事例III(生産・技術)
「受託生産品」と
「自社ブランド製品」の切り分け、
および経営資源の最大効果を
どちらの戦略に投資するかの見極めが山場でした。
第2問(受託品の製造工程効率化)
1つは「検品・仕上げ工程」における手直しの多さ。
若手の習熟度を考慮した配置や
改善で出来栄えのばらつき(手戻り)を減らします。
もう1つは「縫製工程」。
自社ブランドの計画が
突発的に入ることで
受託品の製造がストップする
非効率を解消するため、
生産計画の調整や
担当の分離を検討します。
第3問(自社ブランドの開発強化課題)
企画面では
定量データ(オンライン販売情報)だけでなく、
小売店等からの
「定性的(顧客の声)データ」や
「修理情報」を
企画にフィードバックさせること。
生産面では、
過剰在庫や欠品を防ぐために
「在庫量を加味した生産計画の策定・情報共有」
が課題となります。
第4問(二者択一の戦略)
櫻井講師は「高級感の追求案」を推奨。
限られた熟練職人(6名)の技を
若手にOJTで
技術承継(全体縫製の習熟)させつつ、
職人は生産と教育を両立させることで、
ボトルネックを解消し
高付加価値化(収益拡大)を実現するストーリーが
セオリーに合致しやすいと解説しています。
4. 事例IV(財務・会計)
ボリュームが非常に多く、
いかに部分点を拾うかの勝負でした。
第1問(経営分析)
課題には
「自己資本比率(または負債比率)」や
「売上高営業利益率」
優れている点には
「棚卸資産回転率」や
「当座(流動)比率」などを挙げ、
収益性・効率性・安全性から
バランスよく4つ選択します。
第2問〜第3問(意思決定・CVP)
設問が複雑で計算量も多いため、
第2問の設問1(売却損の処理等)や
第3問の手堅いCVP計算などを確実に拾い、
難解なNPVの後半などは割り切って捨てる
(他ビジネス事例に時間を回す)
戦略の重要性を説いています。
第4問(記述)
財務指標(自己資本比率の向上など)を交えながら、
トラック売却による借入金返済の効果や、
地域密着による全社的な価値向上など、
妥当性のある財務的メリットを記述すれば
部分点が見込めます。
—
動画の最後では、
試験後の強い不安や無力感は
合格者も含めて
誰もが抱くものであるため
気にする必要はないと受験生を労い、
合格発表までの約3ヶ月間は、
これまで我慢していた新しいことや
勉強に前向きに取り組んでほしいと
エールを送っています。