- 2021/10/29
2021年度(令和3年度)に実施された
中小企業診断士2次筆記試験の各事例について、
試験直後の受験生の反応や、
高久講師ご自身の豊富な実務経験
(広告業界、起業支援、コンサルティング現場の視点)
を交えた
リアルな分析・解説が行われています。
📄 事例I(組織・人事に関する事例)
テーマ・業界
印刷業から広告・Web制作業へのドメイン拡張
特徴と難易度
全体的に難易度は高め。
第1問〜第3問
(過去の出来事)で
どれだけ着実に得点を積み上げられたかが勝負。
講師の視点
印刷業界は
1990年代のDTP普及や
ネット印刷の台頭で
劇的に変化した業界。
実務的な視点から見ると、
工場を持たない
「ファブレス化」や
「ディレクション業務」への集中には、
外部協力会社との関係維持など
特有のリスクが伴う。
第5問の長期課題では、
単なる営業強化だけでなく、
「組織構造は戦略に従う」
(チャンドラー)
の原則に基づき、
ドメイン拡張に合わせた
組織体制の刷新や
企業イメージの払拭といった
戦略的対応が本質的な課題であると解説。
🍱 事例II(マーケティング・流通に関する事例)
テーマ・業界
豆腐製造販売業。
コロナ禍における移動販売の拡大、
お菓子の新規開発、ネット販売。
特徴と難易度
前年の
「コロナの影響を無視する」
という設定から一転し、
2021年8月末の感染爆発期という
生々しいコロナ禍が前提の設定となった。
講師の視点
実際の移動販売
(買い物難民対策など)
の実務経験を踏まえ、
高齢者をターゲットにした
「置き配」や
注文対応について言及。
単発の電話注文対応は
費用対効果(効率)が低いため、
実務視点では
週1〜3回の購買頻度に合わせた
「定期契約(サブスクリプション)」
のような
仕組み作りを提案することが
有効であると指摘。
地元の和菓子店とのコラボによる製品戦略
(コ・ブランディング)や、
双方向のコミュニケーション
(IMの活用)の重要性を解説。
💼 事例III(生産・技術に関する事例)
テーマ・業界
鞄製造業
(手作りの高級自社ブランドと受託生産の並行)
特徴と難易度
課題の数が多く、
設問との対応付けが非常に難しい。
ここ数年で最も難度が高い事例の一つ。
講師の視点
実際のダレスバッグ職人の現場写真や
Webサイトの事例を紹介しながら、
手縫いとミシン縫いの強度の違いや
分業化の実態を解説。
最終問の
「手作りによる高級仕様(A案)」か
「分業・標準化(B案)」かの選択は、
受験校の解答でも意見が分かれるポイント。
企業の持つ強み・コンセプトの維持
(高収益・高級感)を徹底する観点、
あるいは若手育成や
退職リスクへの現実的な対応の観点、
それぞれの両面から
論理的な検討プロセスを提示。
📊 事例IV(財務・会計に関する事例)
テーマ・業界
外食事業も営む食品スーパー
特徴と難易度
経営分析で
「優位な点2つ、課題2つ」
を答えさせる初パターンが登場。
講師の視点
講師が実際にコンサルティングしている
食品スーパーの実データ
(業界平均値との比較)
を開示しながら解説。
この企業は
外食や惣菜(粗利益率60%超)を
内製しているため、
一見「売上高総利益率」が高く見えるという、
実務をかじっていないと
見落としがちなマジックを紐解く。
一方で、
多額の設備投資(セルフレジ等)による
長期借入金の負担と支払利息の大きさが
「経常利益率」を圧迫している点など、
収益性と安全性の課題の
リアルな矛盾・つながりを指摘。
💡 受験生へのメッセージ
高久講師はご自身の受験経験
(2次試験3回目で合格、不合格時の大きな挫折)
を明かし、
「試験直後に『できた!』と思える人はほぼいない。
解答が予備校の模範解答と多少ズレていても、
実務的な視点を含めて
幅広く採点される可能性があるので、
蓋を開けるまで諦めないでほしい」
と、
受験生の不安に寄り添うエールを送っています。
また、
合格発表を待つ間に
各事例の業界について
一歩深く調べること自体が、
その後の口述試験や
診断士としてのキャリアに
必ず活きると締めくくっています。