- 2026/04/04
「令和5年度(2023年度)中小企業診断士2次本試験分析会」
講師:三好隆宏氏
各事例(事例I〜事例IV)の出題者の意図や採点基準の傾向、
再現答案の分析に基づいた得点のポイントなどが解説されています。
全体を通して、
受験生の出来具合に応じた
得点調整の可能性なども視野に入れた
実践的な振り返りが行われています。
全体公表と傾向
得点パターンの想定
事例I・事例IIでしっかりと点数を稼ぎ、
難易度が高かったと思われる
事例III・事例IVのへこみをカバーする
(足切りを回避しつつ平均を上げる)
ような立ち回りが、
今年の合格ラインに達する一つの目安になると考えられます。
再現答案の印象
全体的にポイントを大きく外していない答案が多く、
極端な得点調整をする必要性が例年より低い事例もあるという印象です。
事例I:組織・人事に関する事例
全体像
全ての設問において
「指示を外さない対応」
ができたかどうかが分かれ目です。
第1問(強み・弱み)
統合前の強み・弱みを整理する問題。
多くの受験生が比較的うまく対応できています。
第2問(差別化と狙い)
差別化の内容に加えて、
わざわざ要求されている
「狙い(従業員の定着など)」
に触れられているかで大きな差がつく可能性があります。
第3問(留意点)
「平合統合の進め方」ではなく
「X社のどの点に留意するか」
(X社の特徴・違い)
という指示を正確に捉えられたかが重要です。
第4問
設問1では、
予見文にある「接客リーダー」というリソースを
具体的に使って
組織統合のプロセスを記述できたか、
設問2では外国人観光客や若者といった
新たな顧客獲得に向けた展開を
記述できたかがポイントです。
事例II:マーケティング・流通に関する事例
全体像
予見文の最後にある
「2代目社長の事業内容見直し(1〜4)」
と設問との対応関係をどう整理するかがポイント。
第1問(3C分析)
野球用品の強化という方向性にフォーカスし、
要素を絞ってシンプルにまとめるのがセオリーです。
第2問(プライシング)
新しい流れとして
「サブスクリプション」を明示できたか。
さらにB社の強みである
「商品カスタマイズの提案力」を組み合わせて
競合(大型量販店)との差別化を記述できている答案が
高得点につながります。
第3問(プロモーション・イベント)
自社が持つリソース
(公立小中学校の指定店であること、用具の貸出など)
を活かして、
まだ野球を始めていない層へ
(女の子など)
アプローチする構図が描けているかが重要です。
第4問(関係性構築)
長期的な売上向上のための対応相手は、
少年野球チームの「監督」に絞って
具体策を記述するのが
出題者の意図に最も近いと考えられます。
事例III:生産・技術に関する事例
全体像
典型的なパターン(非効率の改善など)に
機械的にはめ込もうとすると、
かえって設定を読み違えてしまうような、
いやらしい問題設定が目立ちました。
全体的に
受験生の得点率が低めと予想されます。
第2問(受注量増加への対応)
コロナ禍で人員を減らした後に
受注が回復したという特殊な設定。
非効率の改善ではなく
「人を入れるか、設備(自動化・器具)を入れるか」
の判断を求められており、
前処理段階での機械導入などに
着目できたかがポイント。
第3問(在庫管理)
食品勝者との月次生産計画の共有や
データ連携
(勝者側の判断での納品システム)
を活かすストーリーですが、
再現答案では
「入出庫管理」の記述に留まるものが多く、
そこが書けていれば
一定の加点が見込めます。
第4問(製品の企画開発)
料理長からの指示待ちだった体制から
自ら企画するにあたり、
予見文にある
「レシピの整理がされていない」という課題を
この設問で綺麗に回収できたかが分かれ目です。
第5問(新工場構想の妥当性)
結論として「妥当である」と言い切るのがセオリー。
(妥当でないとすると留意点が書けなくなる)
理由を網羅しつつ、
留意点として社長の構想から漏れている
「配送面の考慮」を指摘できていればパーフェクトです。
事例IV:財務・会計に関する事例
全体像
1000円単位の細かい数値処理、
およびCVP分析での波数処理の指示などにより、
計算プロセスでパニックや
時間不足に陥りやすい内容でした。
事例III同様に平均点が低くなる傾向があります。
第1問(経営分析)
OEM生産(自社設備を持たない)という特性を考慮。
有形固定資産回転率の悪化などを
指摘する答案が多いですが、
出題者の意図としては
安全性(当座比率・流動比率など)の観点も想定されます。
第2問(CVP分析)
設問1・2の計算自体は難解ではないものの、
指示通りの少数点処理を行うと
固定費の算出結果が
年度間で一致しないなどの罠があり、
時間ロスを誘発しました。
また、設問2の条件文
(回避可能費用などの表現)
の解釈でも受験生の回答が分かれています。
第3問(意思決定会計)
設備投資の意思決定。
設問2の正答率はかなり低いと予想されるため、
設問1(キャッシュフローの算出)で
部分点をどれだけ手堅く拾えているかが重要です。
受験生へのメッセージ
結果を気にしすぎないこと
試験が終わった以上、
これからの行動で
答案の点数が変わることはありません。
合格発表までの悶々とする期間は、
意識的に別の活動(趣味や仕事など)に時間を使うなど、
有意義な過ごし方を推奨しています。
口述試験対策
発表があってからの準備で十分に間に合います。
講師の伊東拓氏が、
同年度の2次本試験(事例I〜IV)
の難易度や出題傾向、
各設問の回答の方向性について
詳しく解説しています。
📊 各事例の主なトピックと分析の概要
全体概要
トータルとしての問題自体の難易度は、
前年・前々年に比べると
「やや易化」していると分析。
ただし相対評価の試験であるため、
合否のしやすさとは
直接関係しない点を強調。
事例I(そば店)
過去最大クラスの
膨大な問題本文の量だったが、
他企業(X社)との対比構造が
明確で読み進めやすい構成。
20年ぶりに
「飲食店」が題材となり、
組織構造よりも
戦略面や経営・組織統合が大きなテーマに。
事例II(スポーツ用品店)
本文の解釈に迷う要素は少なかったものの、
知識の想起が重要になる事例。
サブスクリプションの導入や、
ホームページ・SNS・スマホアプリを用いた
関係性強化のあり方について解説。
事例III(食品加工業・C社)
例年に引き続き非常に難易度が高く、
回答を絞り切るための
決定決定的な根拠が掴みにくい作り。
採点基準は幅広く得点が振られる可能性が高いと予測。
事例IV(財務・会計)
過去3年の難問続きに比べると
計算自体の素朴な難易度は下がったものの、
問題文の不備や指示の曖昧さがあり、
受験生が戸惑いやすい内容。
第2問(CVP分析)を確実に取れているかが
勝負の分かれ目。
動画の後半(約2時間11分以降)は、
参加した受験生からの
具体的な記述内容や
計算の迷いに対する
質疑応答のセッションとなっています。